夫婦の双方又は一方が公務員であるケースでは、いくつか特徴的な問題があります。
1.離婚手続の進め方
民間企業の場合、社員が離婚でトラブルになっているからといって、通常、退職を進められるなどといったことはありません。
しかし、夫婦の一方または両方が公務員のケースでは、警察や学校など、勤務する職場によっては民間企業よりも私生活上の倫理問題に敏感で、離婚に関するトラブルによって事実上退職することを避けられなくなる場合があります。
こうしたケースでは、調停など公的な場での離婚協議を避けるため、早々に離婚条件を整えていくことが求められます。
2.離婚原因について
上記1と関連しますが、離婚原因が不貞・暴力など社会倫理に反するものである場合、事実上退職に追い込まれることがあるため、離婚原因を明らかにすることを拒否されたり、慰謝料の支払いを拒否されたりする場合があります。
また、公務員であるからといって一概に判断はできませんが、公務員である配偶者によるモラルハラスメントの訴えは比較的多くみられます。
同年代に比べて比較的高い水準で安定した収入が得られていること、特に地方では公務員が優良就職先である場合が多いことなどが、配偶者に対する優越心を招くのでしょうか。
モラルハラスメントは性格の不一致の一種ですが、配偶者に対する行動支配の程度・異常性によっては離婚原因にもなり得ます。
3.財産分与について
公務員の方は財形貯蓄や共済積立貯金など、様々な形で貯蓄をされていることがあります。これらも婚姻期間中に積み立てられたものは財産分与の対象となりますので、残高を確認する必要があります。
これらの貯蓄は給与から天引きで積み立てられているため、給与明細で何が積み立てられているかを確認しましょう。
4.年金分割について
公務員は、地方公務員共済、国家公務員共済といった共済年金に加入していますので、離婚に際しては、年金分割を請求することができます。年金分割に必要な年金分割情報通知書は、各共済組合を通じて請求を行います。その際、年金額の試算もお願いすることができます。
なお、共済年金は平成27年10月より厚生年金に統合されますので、統合以降は公務員であっても、会社員の年金分割と同じ手続となります。