婚姻費用の額について激しく争われた事例

不貞を行った夫側から離婚調停の申し立てがあり,当事務所が代理人となりました。

夫からの慰謝料の提示額が低かったことや,今後子どもたちが大学に入学が見込まれるなど家計に不安があったことから,離婚を拒否していたのですが,調停期間中になんと夫が自宅に戻って同居を再開するという珍しい展開になりました

夫が十分な婚姻費用を家計に入れなかったため,当事務所から婚姻費用を求める調停を提起したのですが,通常婚姻費用の算定に用いられる基準表は別居を前提にしており,同居している場合にどのような修正を加えるべきかが激しく争われました。

調停は不調となり,審判が行われましたが,審判の結果にも双方が不服を申し立て,高裁での抗告審では実額計算(実際にかかる生活費を積み上げ,双方の収入に応じて配分する計算方法)によって婚姻費用が定められました。

コメント

不貞が原因で別居したにもかかわらず同居を再開したことや,同居を再開したにもかかわらず婚姻費用を巡って裁判所で争ったことなど,これまで経験のない珍しい事案でした。

同居している夫婦間でも,適正に婚姻費用を分担していない場合には婚姻費用の分担請求が可能ですが,別居を前提としている算定基準表では算定不可能です。

現在,婚姻費用の算定は算定基準表でほぼ決定されていますが,事案の特殊性から本件では実際の費用を算出して何をどちらが負担するかを定めるという方法が採用されました。

実額計算は,家族の生活が変化するたびに計算に変動が生じるため,争いが再燃するという問題がありますが,同居継続のケースでこのような計算方法が高裁で採用されたことは参考になる例と言えます。

2014/06/20

※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります

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