夫が酒乱で妻に生活を頼りきりであることを理由に,妻から離婚を請求されました。
夫婦の主な資産は共有名義の自宅のみであったため,共同で売却し,売却代金を折半することを提案しましたが,夫は行き先がないことを理由にかなり抵抗しました。
共有財産の処分に他の共有者が同意しない場合,共有物分割請求という手続によって処分することが可能です。そこであくまで抵抗する場合にはそのような手段によることを説明して説得し,売却に応じさせました。
売却が決まってからも,期日までに退去しなかったり,売却に必要な書類を用意しようとしなかったり,いろいろと手間がかかりましたが,最終的には売却を完了しました。
妻がこれまでに受けた苦労を考えると,売却代金は慰謝料としてもらいたいほどでしたが,無一文では夫も離婚に応じる見込みがなかったため,売却代金を折半するという条件で離婚調停が成立しました。
自宅不動産が財産分与の対象になる場合,夫婦の一方が自宅を取得し,他方に対して自宅の評価額の半額程度を支払う方法によるケースが多いですが,本件では,妻は自宅を取得する希望がなく,また夫には妻に対し自宅の評価額の半額を支払う資力がなかったため,調停を通じて夫婦で共同で自宅を売却し,売却代金を折半するという方法をとりました。
財産分与で自宅を取得する場合には税金がほとんどかかりませんが,自宅を売却する場合には,不動産業者の仲介手数料や売却益に対する譲渡所得税など,様々な費用が掛かるため,注意が必要です。
2014/06/20
※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります
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