外国人女性からの依頼で日本人の夫に対し離婚調停を提起しました。
夫は過去何度も不貞を行っており,そのことを夫自身も認めていたため,慰謝料を請求したところ,財産分与と併せて300万円を支払うことで合意できました。
また,婚姻後既に30年近くが経過しており,夫はかなり高収入であったため,年金分割情報通知書の取り寄せを行ったところ,既に厚生年金受給に必要な加入期間を超えていることが分かったため,年金分割も併せて調停が成立しました。
外国人の離婚の場合,①日本の裁判所で手続できるか(国際裁判管轄),②日本の裁判所で手続できるとしても日本の法律が適用されるか(準拠法),の2つの問題があります。
①については,相手が日本国内に住所を有している場合には日本で手続をすることができます。相手が日本国内にいない場合には,原則として日本の裁判所では手続ができませんが,例外的に認められるケースもあります。
②については,まず夫婦の一方が日本国内に常居所を持つ日本人であれば日本の法律が適用されます。また,夫婦双方が外国人の場合,夫婦とも同じ本国法であれば,その本国法に従って日本の裁判所で手続ができます。
夫婦の本国法が違う場合には,夫婦の常居所地法が一緒であれば,その法律に従います。
本件では夫が日本国内に住む日本人だったため,日本の裁判所で,日本の法律に従って離婚調停を行いました。
外国人の方からのご相談もときどきありますが,日常生活に支障のない方がほとんどであるものの,調停や裁判に伴う難しい説明や,書面での経緯の説明などが必要な場面では,十分なコミュニケーションが難しく,通訳・翻訳の費用負担をお願いする場合があります。
法的に重要な事実を的確に聞き取れず,結果に大きく影響する危険もありますので,ご協力をお願い致します。
2014/06/06
※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります
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