概要別居後に夫が不貞を行っていたことを理由に妻側が離婚を拒否したため、夫側の代理人として離婚訴訟を行った事例
妻に自宅を財産分与することと引き換えに和解離婚が成立しました。
婚姻費用減額調停を申し立て、住宅ローン完済後の自宅を財産分与するとの和解案を提示し、和解離婚が成立
別居後に相手方の希望するまま多額の婚姻費用の支払義務を認める公正証書が作成
裁判所からも離婚は認められないとの心証
本件では、別居後に妻の希望するまま多額の婚姻費用の支払義務を認める公正証書が作成されており、このため妻としては離婚に応じるメリットがなく、離婚調停が成立しなかったことから、離婚訴訟の依頼をお受けしました。そこで離婚訴訟を提起して、別居期間の長期化を理由として離婚事由があることを主張しましたが、裁判所からは、別居直後の不貞が婚姻関係破たん前に行われたものであり、離婚は認められないとの心証が開示されました。
そこで、公正証書作成後に夫の収入が大きく減額されていることに着目し、婚姻費用減額調停を申し立て、一方で住宅ローン完済後の自宅を妻に財産分与するとの和解案を提示したところ、無事、妻が離婚に同意し、和解離婚が成立しました。
婚姻関係破たん後の不貞は不法行為には当たらず、有責性は否定
婚姻関係破たん後の不貞は不法行為には当たらず、有責性は否定されますが、単に別居を開始すれば婚姻関係が破綻するわけではありません。別居期間、夫婦双方の婚姻関係修復の意思、過去の経緯からみて婚姻関係修復の可能性があったか否かなど、様々な事情が考慮されて破綻時期が認定されることになります。
2018/01/11