妻が子どもを連れずに別居したため,離婚調停では親権が激しく争われました。
最近徐々に流れが変わりつつあるものの,まだまだ親権については母親優先の考えが根強く,別居の際に母親が子どもを連れていれば,父親が親権者に指定されることはごくまれです。
当該事例では,妻が子どもを連れずに別居したため,夫が「現に子どもの面倒を看ている自分が親権者として適任である」と強く主張し争いました。
夫は親権者が決まるまで面会交流にも絶対に応じないと主張したため(そのような主張自体不適切ですが,調停は話し合いの場であるため面会交流を強制する手段はありません),妻が親権を夫に譲ることに同意し,先に離婚調停だけを成立させました。
財産分与についても争点の多い事件であったため,財産分与の話し合いが決着するまでに相当な期間がかかると予想されたためです。
離婚調停成立後,改めて財産分与の調停の申し立てを行い,最終的に約150万円を支払うとの内容で調停が成立しました。
最近の裁判所は面会交流について積極的に取り組む姿勢を見せています。
面会交流について間接強制が認められるケースに関する最高裁判例も出ました。
このため以前はよく見られた,「面会交流は一切拒否」「離婚が成立するまでは会わせない」などといった主張は影を潜めつつあります。
一方,面会交流が以前に比べると非常にシビアな問題として争われるケースが年々増えてきました。調停後に紛争が蒸し返されることのないよう,日時,場所,方法などを十分に検討して調停を成立させるよう,弁護士も裁判所もかなり気を使っているのですが,それでも紛争関係にある当事者同士のことですので,ささいなことで警察を呼んだり,激しい口論になったり,子どもにとってかえって悪影響ではないかと思われる事態に発展するケースもあります。
離婚は夫婦の自由ですが,双方とも子どもの親としての責務は免れないということを,社会の共通認識として広まって行くことを期待したいと思います。
2014/06/06
※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります
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