前妻との離婚後,不貞相手の女性と婚姻した夫が,後妻からの虐待を理由に離婚を請求した事例です。
夫は後妻から食事を与えてもらえない,親族と連絡を取らせない,体が不自由なのに風呂などに介添えをしてもらえないなどの虐待を受けていましたが,裏付けとなる証拠がなく,妻が離婚を強硬に拒否したため調停は不調となり,訴訟を起こしました。
訴訟においても妻は離婚を拒否していましたが,夫には財産分与できるような資力は全くないこと,夫婦双方とも非常に高齢(80歳代)であること,虐待の事実について証拠はないものの,妻が夫の年金を担保に無断で借り入れを行うなど非常識な行動があることなどから,離婚が認められました。
高齢の夫婦の離婚の場合,離婚を希望しない配偶者が離婚後に経済的に困窮しないかが重要な問題になりますが,本件の場合,夫には全く資力がなく,また年金は妻が無断で年金を担保に借り入れをしてしまっていたため,年金も少額しか受給できない状態でしたので,むしろ妻の方が経済的に余裕のある状態でした。
このような事実も離婚が認められやすい要素であったと考えられます。
2014/06/06
※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります
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