30代後半の夫婦の事例ですが,夫がほぼ連日性交渉を求めてくるのに妻が耐えられず,妻から性生活のリズムの不一致を理由に離婚を請求されました。夫が暴力などで性行為を強要しているわけではないため,慰謝料などは認められませんでしたが,住宅ローンの引き受けと引き換えに,自宅マンションの夫の共有持分を妻に財産分与してもらい,また,これとは別に財産分与として約70万円が支払われました。
養育費については算定基準表のとおりの額で調停が成立しました。
コメント
離婚に際して住宅ローン付の自宅の処分が問題になるケースは多々あります。
本件では,マンションの購入に際して妻の父親が妻に約1000万円を贈与して頭金に充てており,残りは住宅ローンを夫の名義で組んで支払っていました。
このようなケースでは,妻の父親が捻出した部分については妻の特有財産(夫婦の共有財産ではなく,妻の個人的な資産)とみなされますので,夫が財産分与でマンションを取得するなら,頭金に相当する部分を妻に支払わなければなりません。
本件の夫にはそのような資力がなかったため,夫名義の住宅ローンを妻が引き継ぐ代わりに,マンション全部を妻の名義に変更しました。
妻が正社員であったため,銀行の審査が通ったのが幸いした事例でした。
2014/06/20