夫が子どもに対し虐待(些細なことで激しく叱責する,矛盾した命令をする,子ども同士を差別するなど)をすることを理由に妻から離婚を求めた事例です。
虐待事例ではいつも問題になるのが証拠の有無です。虐待をする親は自分が虐待をしているという認識がないのが一般的であり,虐待を主張しても認めようとしません。
また離婚を求める方でも,調停や裁判を見込んで最初から記録に残しておくようなことは通常しませんので,調停や裁判では認められない場合が多くあります。
この件でも夫は自分が子どもを虐待していたとは全く認めようとしませんでした。
逆に夫は,夫婦の共有財産から住宅ローンを差し引くとマイナスになるのでその半分を妻に請求すると強く要求していましたが,財産分与とはプラスの財産を分け合うものであり,負の財産を負担させるものではありません。
最終的に,夫は慰謝料については認めなかったものの,解決金として60万円を支払うことを認め,そのほか養育費,年金分割について合意して調停が成立しました。
上記のように,虐待事案の大きな問題は証拠です。
怪我が残るほどの暴力事案なら診断書などの証拠を用意することができますが,傷害に至らない暴力や,言葉による虐待は,証拠化が難しいと言えます。
子ども自身が証言できる,近所の人が見ている,などと言われる方もみえますが,自分の虐待について子ども自身に法廷に立たせることは子どもにとって適切でない場合が多いと思いますし,またご近所の方が法廷で証言してくださることは難しいでしょう。
離婚を決意するまではなかなか難しいと思いますが,万一の場合に備えて日記に詳細な事実を記録しておく,写真に残しておく,録音しておくなどの措置が必要です。
2014/06/06
※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります
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